Facebookグループを利用して「Parent Connection(ペアレント・コネクション)」というオンラインコミュニティを立ち上げました。Parent Connectionは、保護者同士がつながり、安心して情報交換・意見交換ができる無料のコミュニティです。
コミュニティを始めようと思ったきっかけは、日々の子育てでした。
コミュニティ立ち上げの背景
保護者同士のつながりが希薄
育児で強く感じたのは、保護者同士のつながりがあまりにも少ないということです。
保護者が孤立しがちな今の時代、たとえ同じ園や学校に子どもを通わせていても、悩みを共有したり協力したりする機会はほとんどありません。
さらに、問題が起きたときに園や学校、行政の対応に任せるしかない現実があります。声をあげても「モンスターペアレント」とレッテルを貼られて何も好転しません。
そんな現状を、私は長女のいじめ被害を通して実際に体験しました。
長女の保育園時代のいじめ被害に学ぶ

長女が園で受けたいじめはひどいものでした。保育士の目が届かない場所やタイミングで、同じクラスの男の子から暴言や暴力を毎日のように受けつづけていました。
この加害児童はニコニコ笑顔で近づいてきて、いじめてくる子どもでした。それにも関わらず保育士の評価は、素直で理解力のあるいい子だったのです。
長女は毎日、加害児童から受けたいじめの内容を私たち親に伝えてくれていました。あまりにひどいのでやり返してみたらどうかと聞いてみたこともあります。ですが、その加害児童を傷つけるのが嫌なのだと。加えて仕返しされるのが怖いと言います。だから長女本人では何もできない状態でした。
園の年長になった年の初夏。長女が園でトイレをしていると、加害児童がドアを押さえつけて閉じ込めてきました。長女が「やめて」と言ってもやめません。幸い保育士が気づき脱することができました。
加害児童は更生しなかった
当然、加害児童は保育士から叱られました。このトイレ事件をきっかけに、長女が何か嫌なことをされたら、保育士に頼ってすぐ報告し加害児童に注意する体制を園に要求しました。すると加害児童は長女に向かって「先生に言うなよ」と脅しをかけてくるようになったそうです。
仕返しを怖がっている長女はもう保育士に頼ることさえもできなくなりました。
日々のいじめにより長女の心の傷は蓄積し、トイレ事件を契機に一層深い傷になりました。PTSDのような深刻な状態にまでなっていると思います。男性恐怖症の傾向が見られ、何もないのに涙を流すこともありました。
長女は小学校に上がった今も子どものメンタルクリニックに通っています。
核家族だけでは力がない

当時、園の対応は、加害児童に対して「注意した」「理解しているようだ」というものでした。しかしその程度では加害児童の言動が改善することはありません。
加害児童の親に対しても園は注意したそうです。何をどのように注意したのかは知りません。ただ親がキツく叱ったり厳しく躾けたりする必要はあったと思います。場合によっては加害児童が医療機関で更生プログラムを受ける必要があったかもしれません。
当然のことながら行政は動きません。物的証拠もないので第三者機関に相談するのも難しい状態でした。そのうえ園からは、私たち親の訴えが「クレーム」と受け取られた印象です。さらには長女が悪いような言い振りまでされたのです。
そして卒園式では隣りの席に配置されていました。理由は生年月日順だから仕方ないと。すぐに配置がえを要望しましたが、生年月日順を優先するので無理だと言われました。長女が怖いと言ったので、私たち夫婦は卒園式を欠席させました。晴れの舞台、節目である卒園式さえも長女から奪う結果となったのです。
こうした経験から強く思いました。
「子どもを守るためには、保護者自身がつながり団結し、主導権を持つことが必要だ」と。
コミュニティの目的と展望

Parent Connectionは、このような想いから生まれました。保護者が情報を共有し、知恵を出し合い、ときには声をあげ、協力し合えるオンライン上の「つながりの場」にしたいと思います。子どもを守るためには保護者が立ち上がる勇気が必要です。
コミュニティの目的は、保護者の「団結」と「発言権」の強化です。
・子育て中の孤立を防ぎ、支え合える関係性を築く
・行政や企業と対等に交渉できる母体となる
・子育て情報の格差をなくし、知識と選択肢を広げる
・地域を越えて保護者がつながれるインフラをつくる
具体的には、
・子育ての課題に関する議論・提案・アンケート実施
・いじめ問題の実態把握と対策の情報共有
・行政や企業への要望提出・署名活動
・プレゼン大会やアイデアコンテストの開催
・育児管理シートや便利ツールの共有
・識者を招いてオンラインセミナー開催
などを想定しています。
展望として、保護者による「共創」があります。
保護者同士がつながることで、多種多様な仕事に就いている大人が集まることになります。だからメディアづくり、グッズ開発、アプリの開発、政策提言など、さまざまな新しいプロジェクトが生まれる可能性があるでしょう。 子育てしやすい社会や子どもがのびのびと生きやすい社会を「保護者の手で」つくっていく未来を目指したいと思います。


子育ては、ひとりで抱えるにはあまりに重く、時に孤独です。
でも、保護者同士がつながれば、社会は少しずつ変わっていくと信じています。