ウェディング当日映像を使ったエンドロール動画は、撮影や動画編集の未経験者がやっているかもしれない話

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結婚式の披露宴では最後にエンドロール動画という映像が大きなスクリーンに流れます。演出のひとつなので新郎新婦がプランに組み込んでいた場合の話です。

この動画の内容は、結婚式当日の朝からはじまり控え室での様子や式の流れ、披露宴入場、場合によっては披露宴の終盤まで撮影されています。その日の感動の場面を振り返ることができて、演出として出席者をおもてなしになります。また完成動画はディスクに収めて新郎新婦の思い出にもなります。一石三鳥のプランです。

私はこうした結婚式の演出動画を撮影したり編集したりする会社に勤めていたことがあります。この会社以外では「撮影でモデルに変な指示を出したけど販売促進の目標値に対して結果が良かった話」「商品撮影での標準カットとカタログカットは緊張感が全然違うという話」にもあるように、カメラマンに指示を出すディレクションを行っていました。

エンドロール動画は挙式当日の撮って出し映像なので失敗は許されません。とはいえ、これが体力的にも技術的にも割とハードルが高いのです。

体力的な側面では、拘束時間がかなり長いです。控え室のメイクシーンを撮るためには、朝8時にすでに控え室で待っておく必要があります。だから機材を持って会社を出るのが7時ごろ、つまり出勤時間はさらに前です。早すぎです。眠いです。

これでうつにならなかったのは運がよかったです。「うつ状態でもマネージャー昇格を期待されつつ退職したけど今思えば会社と交渉すればよかったかもという話」に登場する会社はまた別の会社で、ディレクターをしていました。うつになる原因は生活サイクルや睡眠時間だけではないのでしょう。

さて挙式は1日1組ではありません。エンドロール動画のプランを1日で複数受注している場合は2組か3組撮ります。それ以上の数を受注しているときはカメラマンの人数を増やします。言いたいのは、出勤時間はとても早いのに、仕事が終わるのは夜21時ごろのときもあるということです。そこから帰社して翌日の機材の準備やほかの演出動画の編集をします。終電で帰るということがザラにあります。

次に技術的な側面ですが、まず失敗は許されないので撮影についてはある程度マニュアル化されています。式場ごとに、場面ごとに、どのレンズでどの位置、アングルで撮影するのかを事前に決めています。とはいえ式や披露宴ごとにイレギュラーがありますので、それにその場で即対応して撮影します。撮り逃しは許されません。

そして撮影の合間にパソコンに撮影データを読み込んではカット編集していきます。基本は時間軸に沿って編集しますが、入れ替えたほうがいい場合もあるので頭の中で全体像をイメージしながら撮影・編集します。

文章にすると大したことないように感じますが、実際にやってみると時間に追われて汗だくになります。最後にはレンダリングとディスクへの書き込みという時間のかかる作業もあります。祝福に満ちた1日なので笑顔を絶やさぬようにしつつ、息切れしながらの仕事です。

このように体力的にも技術的にもハードルが高いのです。

それで私がこのエンドロール動画を初めておこなったのはどのような状況だと思いますか?

入社後1か月少しは社内でほかの演出動画の編集を行っていました。その後は現場にかり出されて、最初だけ先輩社員に付いて見学しました。そしてなんと2回目からは実践でした。

はっきり言ってそのとき私は素人です。未経験者でした。なんとか失敗せずにエンドロール動画の上映ができましたが、運が良かったんだと思います。