私がカタログ制作をしていたころはよく「オールターゲット」で制作してほしいという依頼が来ていました。そのあたりは『「オールターゲット」という魔の言葉に困る話』で触れていますが、つまり万人向けにカタログを制作してほしいということでした。
確かにオールターゲットで制作が必要な場面もあるのかもしれませんが、カタログ制作など販促物の制作に対して私の考えは違います。
カタログ制作は基本、新商品が発売されるタイミングで改訂します。新製品の開発にあたってはきっとどんな人の役に立つ機能を搭載するか考え抜いているはず。それがペルソナというものでしょう。
それなのに売る段階になってそのペルソナを無視して、あらゆる人物像を対象に販売促進の制作物をつくるとペルソナに設定した人たちにメッセージが届きません。たとえカタログを手に取ってもらっても、自分事化して新商品の機能やメリットを見てもらえないのです。
それにペルソナを設定した場合、その仮に設定した人物像が当たっていても外れていても成功したと言えると思っています。当たっていれば成功したと言えるのは納得できるでしょう。しかし外れていたのに成功とはどういうことなのか。私の考え方は、外れたということはそのペルソナ以外にアプローチすればいいと判断できるということを意味します。
数多あるペルソナの中から除外できたというのは、ハズレがわかったということです。だから設定したペルソナが外れていても成功したと捉えます。
開発から販売まで一貫したペルソナを維持し続けることでメッセージを確実に届けること、ペルソナが外れても成功と言えること。この2つを考えると、カタログ制作は万人向けではなく、ペルソナを仮定してその人物像に向けた内容で制作するのがいいと思います。
こうした考え方はカタログ制作に限ったことではなく、ウェブサイトや動画、什器などさまざまな制作物に対して共通に当てはまることだと思います。
開発から販売、あるいはアフターフォローまでの含めて、どんな人物像のお客のために開発するのか?どんな人々にメッセージを届けたいのか?など、ブレのないペルソナ設定とその維持を意識して制作にあたりたいものです。