第二言語として世界的に定着している英語。中国語も広く使われていますが、日本でよく聞くのはやはり英語の習得です。
日本人の親は生まれたばかりのわが子に英語を聞かせて「英語耳」をつくらせます。しゃべることができるようになったら英会話教室へ通ったり英語教材を買ったりして、英語を扱えるように仕向けます。小学校でも必修科目になっているはずです。
確かに英語ができると便利です。まず情報源が圧倒的に増えます。日本語しか話せない人は英語情報をほとんど知らないままでしょう。かくいう私自身もそうです。フェイクニュースが増えている今、日本語だけというのは情弱というほかないかもしれません。
また人脈づくりにも影響を与えるでしょう。英語を話せればつながりができた状況であっても日本語だけしか扱えないようだとその機会を失います。SNSでほぼ世界中のどんな偉い人に対しても会話できる時代です。この機会の損失は大きいでしょう。
ほかにも求人を見ると、同じ仕事内容でも英語ができるのとできないのとでは給与が違います。また英語ができれば比較的給与水準の高い外資系企業を目指すことも可能です。
旅行していても気軽に話せたり、トラブルに遭っても対話や討論することができます。お店で何か注文するときも困らないでしょう。国内であっても日本へ旅行にきた外国人に道案内をしてあげることだってできます。
英語は便利なので第二言語として習得するのは大事なことだと思います。
ですが、それ以上に重要なのは国語です。第一言語を学習して身に着けることです。
以前の記事「AIが進化するほど頭の中のイメージを言語化する国語や語彙力が重要になるのではないかと思う話」で書きましたが、何かをしたいという動機や何かを伝えたいという気持ちは、頭の中でモヤモヤした状態でそのままでは掴みどころがありません。それらをアウトプットするためにはモヤモヤを明確な状態にすることが必要です。そのためには雑念の多い思考を整理して言語化する力が求められます。
以前の記事ではAIを使うことを前提に書きましたが、国語の学習で身につく言語化の力はAIを使うときに限らず重要です。
何度も書きますが、言語化とは思考をアウトプットすることです。つまり仕事や何にかの生産活動、人とのコミュニケーションなど、頭の中で考えていることを形にしたり伝えたりするときに必須の工程で、これがうまくできないと仕事ができない人になってしまったりコミュニケーションのとれない人になってしまいます。
ほかの記事「カンプの回覧を取りまとめて疑問点の解決をやるのが大変だった話」にあるように、仕事上で複数人へ書類を確認し、五月雨で来る返事をさまざまな調整を行いながら取りまとめるにはコミュニケーションが必要不可欠です。言語化できない人がこのポジションに入ると、関わる人はみんな混乱するでしょうし、仕事が完了しません。
子どもだと、乳児のときはしゃべることなんてできませんが、成長とともに言語化能力を身に着けて自分の考えを言葉にします。同じ年齢でも、言語化能力が低いと言葉ではうまく伝えられずかんしゃくを起こしたり暴力に訴えたりします。
長くなりましたが、こうした思考のアウトプットは第二言語では難しいだろうと思います。母国語である日本語だからこそ、日本の文化の上に立ち、頭の中で考えていることをうまく形にしたり伝達したりできるのでしょう。
英語は人生の選択肢を広げてくれますが、それ以前に大事なのは日本語で思考を言語化できるようにすることだと思います。