パルクールとかヤマカシとか聞いたことがありますか?
パルクールとは街中を全力疾走しながらアクロバティックな動きを見せたり、ゴール地点までのタイムを競ったりする競技です。競技と言えるのか少し疑問ですが、ストリート系の競技と言ったところでしょうか。
そのパルクールの黎明期に有名だったのがヤマカシです。古いですが映画にもなっているので知っている人も少なからずいると思います。
私はカタログ制作をやっていた時期があり、何もないところから自主調査&企画書で、2,000万円の予算を勝ち取った話にもあるとおり、カタログ制作の閑散期にした企画提案で予算を勝ち取りました。
複数提案した中でどれを実施するのかと聞いてみると、まったく提案していない商品のブランディングにつながるようなキービジュアルをつくりたいと言われました。それも静止画と動画です。
商品テーマは男性の美容系と決まっているので、あとはどんなビジュアルにするかということ状態でした。男の美というと肉体なのでバレエや舞踊、ダンス、水泳など、ボディビルとは違う肉体美が伝わるようなイメージを連打しました。その中でようやく決まったのがパルクルールでした。
ビジュアルの方向性が決まったところで、モデルの選定やロケハン、ビジュアルのラフや動画のシナリオづくりなど短期間で進行させました。
そのモデル選定のときにパルクール的な動きができる人を8名ほど集めて動いてもらいました。動きのしなやかさや俊敏さ、肉体の引き締まり方などから全会一致で1名に決まりました。
その1名が本物のパルクールで、ヤマカシの3期生だったのです。
いくつかのエピソードを聞かせてもらいました。1番記憶に残っているのは、12メートル位の樹に登り移動するという動きの中で転落してしまったときの話です。
背中の肩甲骨から腰にかけて縫うような大けがで、ひとつ間違っていれば半身不随になるところを奇跡的に回復したそうです。ふつうなら復帰は怖くてできないところを、彼は復帰していました。
頭のネジが何本か飛んでいないとできないことじゃないのかと思いました。その話をしている最中も、彼から感じたのはパルクールならこのくらい当たり前という雰囲気でした。
パルクールは命がけです。本人から話を聞くと尊敬の念が絶えません。