商品撮影での標準カットとカタログカットは緊張感が全然違うという話

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家電のカタログ制作では、商品撮影やモデル撮影があります。今回は商品撮影のほうについてです。

私はパナソニックの家電カタログをやっていました。当然、商品撮影がありその撮影には標準カットとカタログカットの2種類が存在します。

どちらのカットも商品の表示部をどうするかという課題がついてくるのは共通しています。もちろん違いもあります。

まずは標準カットです。これはどんな商品でも必ず撮影するカットで、それは正面・背面・側面・天面といったカットです。

新機種でも旧機種でもライティングは基本的には同じように当てるので、形の似ている商品なんかは見分けがつきにくいほど似通ってきます。しかし標準カットはそれでいいんです。

これはモックという紙でつくった中身のないハリボテを製作する際にも使い、ウェブの商品ページやAmazonのようなネットショップで商品の外観写真としても使います。もちろんカタログ内でも使います。社内資料の画像としても使いますし、社内で使う商品情報サイトにも使います。

また店頭展示を製作している会社とも共有しますし、家電量販店の店内の壁紙に使う場合もあります。まさにどこにでも使える基本となる画像が標準カットです。

次にカタログカットです。これはカタログの表紙や機能を訴求するページ、ウェブサイトのトップバナーや広告、動画などに使います。東京ビックサイトの展示会の会場まで自分で直接搬入までした話にあるように、展示会もやっていたのでそこでも使いました。

標準カットとは違い、その商品の特徴を強調するように撮ります。商品の向きやカメラのアングル、ライティングの当て方など1カットずつ異なります。だからお客にカット割を見せながら撮影内容を説明します。

それは毎回立ち会いがあるとは限らないためです。むしろ少し慣れてくると立ち会いはありません。だから自信をもって、いい商品写真ですと言い切れるように撮影に取り組みます。

このカットでいこうと決めるのは立ち会った撮影ディレクターです。たとえば表紙用のカットはカタログの顔とも言えるものなので最も力を入れます。標準カットと比べて緊張感が全然違います。

とは言っても、私の場合お客に
「いいの撮れました?」
と聞かれて
「はい、最高の1枚が撮れました!」
とたいてい即答でした。

本当にそう思っていましたし、競合他社のカタログと並べたときも際立っていたと思います。とはいえお客の立ち合いがない場合、撮影ディレクターは私に限らずみんな同じように思って撮影していることでしょう。