マーケティングをしている人の中で「オールターゲット」という悪魔のような言葉を知っている人はいますか?
私は初めてこの言葉を聞いたとき、脳内で処理できませんでした。だって「オール」といえば「すべて」、「ターゲット」といえば「絞り込む」ことを意味すると思っています。つまりマーケティングの中では「すべての顧客に絞り込んでアプローチする」というおかしな意味になると思うのです。
言葉を聞き数秒経ってようやく「あ!つまり絞り込まないってこと⁉」とわかりました。マーケティングを放棄したに等しいこの言葉。カタログやパンフレット、チラシにいたるまで、発注される際によく聞きました。
プロダクトアウトとマーケットインの違いはあるにしろ、なにかしら売ろうとしたとき、できる限り調べて買ってくれる人物像を描く必要があると思います。描かれた人物像はたいていひとりの人物を表現することが多い。それが「ターゲット」と言われたり「ペルソナ」と言われたりするのでしょう。
その人物像に向けて販売促進活動や開発をくり返し、このトライ&エラーを重ねることで人物像を調整して拡販するのがマーケティングだと思っています。
こんな考え方を持っている私が「ターゲットはどんな人物ですか?」と聞くと「ターゲットはオールターゲットで」と注文されます。
万人に効果的な販促はありません。
「オールターゲット」と言われると販促活動にならないし、それで失敗しようが成功しようが次の施策につながらないのです。Aというターゲットに絞って、たとえそれで売上が芳しくなかったり失敗だったりしても、これはある意味「成功」です。次回からはAに向けずにBというターゲットを狙うことができるからです。しかもAに絞り込んでいるので支出も最小限にとどめています。
こうして費用対効果が高いターゲットを特定していくことで拡販し、それがマーケティングなんだと思います。
これからは「オールターゲット」という悪魔の言葉は封印しましょう。