About Meでも書いているとおり、以前パナソニックのカタログ制作をしていました。家電のカタログです。カタログ制作といってもそれに付随するパンフレット、ポスター、チラシなど印刷物は一手に担っていました。
商品カテゴリーはいろいろやっていて、たとえばメンズビューティやブルーレイディスクレコーダー、テレビ、オーディオなど。たいてい新商品発売に合わせてカタログを改訂するので、繁忙期と閑散期がはっきり分かれます。
繁忙期が結構忙しく、閑散期はなにもしないというひとが結構いました。当時の私はそういうひとを見ては「サボってるなぁ」と距離をおいていましたが、今となっては好きに仕事のペースを決めて上手にコントロールしていたのかもしれないと思い、自分は自分であり他人は他人だと気づきました。
これは自主調査と企画書で2,000万円の予算を手に入れた話なのですが、私は閑散期になってもなお繁忙期のようなペースで働き企画書を完成させていました。私は提案するのが好きというか、思わず提案をしてしまう性格でもあり。今思えば回遊魚のように止まると死ぬのか?!と感じさせる働きっぷりでした。
ちなみに今の私がやるなら繁忙期にカタログ制作をもっと効率よくまわし、その空き時間で企画を練り上げ、閑散期に入るころにはほぼ完成させていると思います。
当時の企画書は今思うと稚拙なところが多く、自主調査といっても当時からクラブパナソニックという無料の会員制度があり、そのトレンドを数値化してまとめるというものでした。そこから導き出したものを企画として落としこみました。
複数の案にまとまったのでパナソニックの販売促進担当者にもっていくと「これ全部やるの?」と怪訝な表情で言われて慌てて言い返しました。そうではなくて今の時代、今の商品カテゴリーで売るために必要な施策だから参考にしてほしいと。
後日、その担当者がこの企画書をもとに部長と話し合ったらしく、2,000万円の予算がおりてきました。担当者も義理堅く、企画書をつくったのは私なので「この予算で一緒に何か面白いことやろうよ」といってくれました。
結局のところ企画書にあることは何ひとつやらずに、商品カテゴリーのキービジュアルを広告に耐えられるような質で作りこむことになりました。
これを経て思ったのは、提案はしたほうがいいということ。企画書にする前に話すだけでも構わないからいつも提案体質でいたほうが予算はとれるのではないかと思います。またルーティン化しているカタログ制作以外で、一緒に何かつくり上げると新しい絆というかつながりというか連帯感というか、そんなものが生まれます。端的に言うと、めっちゃ仲良くなります。信頼もされます。提案体質になって悪いことはないのかもしれません。
とはいえこの2,000万円、時期的には予算消化だったのかなぁとも思えます。提案体質や運だけではなくタイミングも重要なんですね、きっと。