初めて動画編集したのは女子プロボウリングの事務所で働いていたときです。15年くらい前だと思うので2010年ごろのことだと思います。初体験なのにPremiere Proで単純なカットやエフェクトだけではなく、After Effectでアニメーションにも挑戦しました。
日本では、遊びとしてのボウリングは人気ですが、プロボウリングとなると急にマイナーな世界になります。そのせいかプロボウリング大会の演出もショボい状態でした。
ボウリング場にはズラリとモニターが並んでいますし、演出に使えそうなスペースも結構あります。それらがほぼ使われていないようでした。ボウリングが遊びと密接につながっているので、エンターテイメントとして演出するのは受け入れてもらいやすいと思います。
当時の事務局長は私にかなりの裁量権を与えていました。入所した当初は印刷物のディレクションを一任されました。チラシ、ポスター、パンフレットその他もろもろ。
次に大会当日の運営にとどまらず、一眼レフでの写真撮影やビデオカメラでの動画撮影もするようになります。動画撮影は業者の人と打合せつつ、一緒に撮っていました。ボウリングは体の動かし方が独特なので、どのタイミングならアスリートとして格好いいか探るのが面白かったです。
そしてグッズのひとつとして大会のDVDを出すことになりました。撮影業者が編集環境もありましたが、個人事業主で編集はやりたくないと断る流れでした。そこで白羽の矢が私に飛んできたのです。その矢は避けることもできました。でも喜んで矢に射抜かれました。好奇心でしょうね。
Premiere Proの「ぷ」の字も知らなかった私は、大会映像のカット編集にも3日ほどかかりました。なぜなら4台分のカメラ映像があったからです。そのうえマルチカムも起点を合わせるのもひとつずつ機能や方法を調べて編集していました。
ようやく編集が終わったときにチャプターがないことに不便さを感じました。トライ&エラーでディスクに書き出して、チャプターもつけました。パッケージのデザインもして試作品の完成です。
と思ったのですが、何か物足りません。何度か見返してようやく気づきました。オープニングがないことに不足を感じたのです。そこでAfter Effectに手を出しました。
パラメーターが多すぎてさっぱりです。教えてくれる人もいなかったので、自分で調べて本を読んで試してのくり返しでした。完成形のイメージもないまま作業していました。暗中模索です。
そして締め切りの時間が近づいてきました。オープニングらしくない意味不明で低品質の駄作しかできていません。そして諦めました。こうなる可能性が高かったので代替案をすでに考えていました。FINAL CUTのテンプレートでなんとなく、それらしく形にして終わりにしました。
動画の初体験は惨敗でした。正直悔しかったです。でもそれまで印刷物しかやってなかったので、動画という新しい制作の世界をのぞけたので楽しむこともできました。低品質でしたし結果は惨敗で失敗と言えます。それでも経験や知識が増えたことを考えると、個人的には成功でした。挑戦してみてよかったなという感想です。
その後、大会のオープニングの演出動画をつくることになりました。リベンジでつくったその動画はいま振り返って考えるとショボいものです。それでも新しいスポンサー獲得にひと役買ってくれました。
今の私なら無料のプラグインをいくつか利用して、短時間で品質を高めて制作すると思います。
当時はプラグインの数が少なく、たしか無料プラグインもなかったと思います。もしくは英語ばかりで探せませんでした。それに事務局も予算を割けるほどの余裕はありませんでした。
でもこの経験がその後の、ウェディングやパナソニック、金融関係での動画制作などに活きていたと思います。白羽の矢が飛んできたら、避けるよりも当たりに行く。それくらいでちょうどいいかもしれませんね。