Figmaを始めてみるとワイヤーフレームの作成が早くて最高で楽しいという話

Creative

制作ディレクターとして仕事をしてきた中で、印刷物ならラフ、ウェブ制作ならワイヤーフレームをつくることは当たり前の作業でした。とはいえ、その「当たり前」は決して効率的ではなく、試行錯誤の連続でした。

これまで私が使ってきたツールは、手描き、パワーポイント、エクセル、ワード。どれもそれぞれにメリットはありましたが、正直なところ、どれも決定打にはならず、妥協しながら使ってきたという感覚が強いです。

手描きは自由度が高く、思考のスピードに手が追いつけば直感的に形を描けるのが魅力です。ただ、時間がかかり、書き直しも多く、清書して人に見せるには向いていません。

パワーポイントは図形のコピーや整列が効く分、多少スピード感が出るのですが、自由度は一気に落ちます。エクセルはさらに制約が強く、レイアウト表現としてはかなり窮屈です。ワードに至っては基本的に文字情報を伝えるためのツールなので、ワイヤーフレームづくりには適していません。

これらのツールをなんとかやりくりしながら使ってきましたが、正直「もっと効率的で直感的に使えるものがあればいいのに」とずっと思っていました。

そんな中で出会ったのがFigmaでした。

最初に触ったときの感想は「これまでのストレスを一気に解消してくれるかもしれない」というものでした。

オートレイアウトの機能は特に感動的で、コンポーネントを組み合わせるだけで自然と整列してくれます。画像をそのままドロップできるのも大きな利点です。

細かい調整に追われていた時間が嘘のように削減され、作業が気持ちよく進みます。ワイヤーフレームの作成がここまで快適になるとは思いもしませんでした。

さらに驚かされたのは、Figma makeを使ったときの体験です。

プロンプトに目的やユーザー像、必要な要素、必須のUIなどを列挙するだけで、数分後にはワイヤーフレームが生成される。これまで数時間かけて描いていたものが、一瞬で叩き台として手元に現れる。そのスピード感には本当に衝撃を受けました。しかも、そのままFigma designにコピペして微調整もできるので、自分なりの修正や加筆を加えるのも容易です。

作業時間が大幅に短縮されたことで、空いた時間を調査や分析に振り向けられるようになりました。競合調査やユーザー調査、ベンチマークの選定や検証といった、ワイヤーフレームを起こす前に本当に必要な思考のプロセスにより集中できるのです。

「このユーザーにはどんな体験が最適だろう」「もしこんな機能をつけたらどうなるだろう」と想像を広げる時間はとても楽しく、モチベーションも高まります。ワイヤーフレーム作成という単純作業に追われる時間を減らせたからこそ、本質的な部分にエネルギーを注げるようになったと実感しています。

ただし、注意点もあります。Figmaで生成されたワイヤーフレームにあれこれ盛り込みすぎると、後工程で困るのはチームです。コーディングやプログラミングを担当するメンバーにとって、実現が難しい機能や余計なUIが増えることは負担でしかありません。

制作の現場では、「あれもこれもやりたい」という欲張りが結果として混乱や疲弊を生むこともあります。

だからこそ、生成されたワイヤーフレームをそのまま完成形とせず、あくまで叩き台と考え、チーム全員で意見を出し合う場を設けることが大切だと思います。ワイヤーフレームは、完成品を目指すための道しるべであり、対話のきっかけでもあるのです。

それでもなお、Figmaを使ってワイヤーフレームをつくるのは本当に楽しい作業です。これまで煩雑で面倒だった工程が一気にスムーズになり、アイデアを形にするスピードが格段に上がりました。

制作ディレクターとしては、より「考えること」に集中でき、クリエイティブな時間を過ごせるようになったと感じています。私にとってFigmaは、ワイヤーフレームに関して心から楽しいと思わせてくれる存在です。