カタログやウェブサイトの制作の際に、ベンチマークを明確にする企業はどれほどあるでしょうか。私はしばらく制作畑にいましたが、あまりベンチマークについて話をきいたことがありません。
たまにこんな風にしたいんだと聞いたこともありましたが、その場合は業界1位を参考にしていました。その際に自社が業界で何位なのかあまり聞いたことがありません。
ベンチマークするなら自社のひとつ上の順位の企業を設定したほうがいいだろうと私は思っています。なぜなら順位によって販促活動やブランディング活動が異なるからです。
業界1位の企業は、たいてい販促活動だけではなくブランディング活動にも力を入れています。ブランディングがうまくいけば販促活動の効果を何倍にも高めることができます。またお客からの指名買いが増えます。信頼と安心があるからです。
業界1位の企業はニッチなお客を狙いません。それこそ『「オールターゲット」という魔の言葉に困る話』でもあったように全方位に販促活動を行っていくことが多いでしょう。しかしまだ上位に食い込んでいないなら「カタログは万人向けではなくペルソナに向けた内容で制作するのがいいという話」でもあるように、狙いを絞り込んだほうがいいと思います。
もし業界1位をベンチマークして、それらを模倣して「オールターゲット」に販促活動し、そのうえブランディング活動も負けじとやろうものなら、業界順位が上がることはないでしょう。
それに対してひとつ上の企業をベンチマークすれば状況は変わります。そのような企業なら自社と大差のない商品特性や機能、ブランド力のはずです。ならばリサーチを徹底してペルソナを絞り込み、その人物像に響く販促物を制作すればいいということになります。
ほぼ横並びの製品を、ターゲットにより良く見せることができれば自然と自社製品を選んでくれるはず。こうして一つひとつ順位を上げていくことで、ゆくゆくは業界2位になるでしょう。そこで初めてブランディング活動を視野に入れるのです。コカ・コーラに対してペプシが行うように、2位ならではのブランディングです。
業界1位と2位の製品の差はそれほど大きくないことが多いでしょう。大きな違いといえばブランディングによる認知度だと思います。「●●と言えば■■社」のような感じです。このレベルに達するには長い時間と大きな予算をかける必要があります。ましてや2位が1位を追い越すにはこの時間と予算をかける覚悟が必要です。
たいていの企業は2位より下位なので、まずは目の前の順位の企業をベンチマークして販促活動することが求められます。なのでまずは自社のポジショニングの明確化、自社とベンチマークのSWOT分析をして勝ち筋を見つけ出すことが大切だと思います。