カタログなどの印刷物でもウェブサイトでも、制作にはたいてい校正という工程があります。制作会社によって2つにわかれていて、自社内で校正して完結するところと、外部の校正会社や校正者に発注するところです。
私はどちらの会社にも属したことがあります。結論として外部の校正屋に発注するほうがいいです。
自社完結型の会社の場合、グラフィックデザイナーとディレクターが校正することがほとんどです。彼らは制作者本人であり、制作物を何度も何度も見て確認してお客に提出します。ふしぎなことに見慣れた制作物を校正しようとすると「目がスベる」ことが多くなります。
目がスベる、つまり見落としです。
家電製品のカタログなどの場合、似たような機能や性能をあらわす数字、単位がよくあります。正直見慣れる前でも見落としやすいです。
そんな中でグラフィックデザイナーは、ほとんど時間を与えられずにデザインすることがよくあります。確認といってもサッと目をとおしてディレクターにパスすることが日常的です。
ディレクターは「カンプの回覧を取りまとめて疑問点の解決をやるのが大変だった話」で書いたようにさまざまな課題や疑問を解決するのに追われます。また「キャッチコピーの考案は感覚ではなくポジショニングとSWOT分析で導き出す話」のようにキャッチコピーや説明文を考案する場合もよくあります。打合せが多かったり関係者の連携を取り持ったりもします。
そもそも「1ミリの誤差を修正することがディレクターの役割ではないと思う話」のとおり、制作物を1文字1文字間違いないかではなく、全体を俯瞰して見るのがディレクターの役割です。
それでも「お客が確認するからそのときに気づくんじゃない?」と思われるかもしれません。しかしお客の役割は制作ではなく、開発やマーケティングや販促物全体の管理だったりします。だからお客が目を皿のようにして確認することはおそらくありません。
では一体いつ誰が、内容に間違いないか確認するのでしょうか?
自社完結型の場合、誤植のリスクはとても高いことがおわかりいただけたでしょう。誤植があればやり直さざるを得ません。当然、修正費用というコストもかかります。カタログなどの印刷物の場合、このコストがかなり高くつきます。
この高いリスクと手痛いコストをかけないためにも校正には手を抜かないことが大切です。つまり校正の外部化です。
外部の校正者に依頼すると驚くほど細かくチェックしてくれます。人によっては間違いだけではなく、疑問点の洗い出しまでやってくれます。いい校正者の場合、性格的に細かいチェックが得意な人もいて心強いです。
誤植が発生した場合のリスクとコストを考えると、校正を外部に発注するほうがリスクは低くなりコストは安く上がります。
校正は外部化を。これは制作するうえで守りたい重要事項です。