キャッチコピーは何かを売ったり主張したり伝えたりするときにとても重要な役割をします。非言語的な感情や直感によって人を動かすことができることもありますが、それは確率が低かったり狙った方向に人を動かしにくかったりします。
言語によって人に納得してもらうことで、自分が思う方向へ人を動かせることが多いものです。
だからキャッチコピーは重要で、コピー年鑑という厚さ5cm以上もありそうな書籍が出版されているほどです。
私の好きなコピーライターは、あの有名な糸井重里さんではなく、「広告コピーってこう書くんだ!読本」を書いた谷山雅計さんです。
この「広告コピーってこう書くんだ!読本」に書かれているのは、要約するとコピーを量産してダメなものを取り除き、また量産して取り除きをくり返して、いいコピーが生み出せるということです。つまり「量産して取り除く」ことがコピーを磨くことになります。
宝石でいうと原石の状態だとただの石ですが、数多くの石を磨いて磨いてムダを省き、残ったものが高価で価値の高い宝石になるというわけです。
さて私はこの本に出会うまでは頭のどこかで、コピーは直感的でどこからか降りてくるものと思っていた節がありました。でも実際には違うことを知りました。まずは量産すること、次に取り除くこと。
この作業をするためには軸が必要です。軸を元に量産して、軸を基準に取り除きます。この軸をつくるために私が必要だと考えるのがポジショニングとSWOT分析です。
業界にせよ商品群にせよ、自分の立ち位置を把握するためにポジショニングが必要です。自分の現在地がわからなければどの方向へ向かえばいいのかサッパリです。
そして、その立ち位置の上で強みと弱みを洗い出すSWOT分析。コピーをつくるということは冒頭でも書いたように、何かを売ったり主張したり伝えたりするための作業です。その際に自分の強み、相手にとってはメリットになる部分を的確に言語化すること。次に弱み、相手にとってはデメリットになる部分を柔軟な発想で補強してメリットに変える言葉にする。
きっとほかの分析手法も加えれば、より精度の高いコピーがつくれそうですが、たいてい時間のない中で考案するのでポジショニングとSWOT分析くらいがちょうどいいと思います。
何の分析も根拠もなく、感覚や直感でコピーはつくれません。軸のあるコピーで成功体験を積んでいくと、再現性のあるクリエイティブができるはずだと思います。